「二人でいるとき一人言」





女:
イチローと全く同じ練習をしたって、誰もイチローと同じ成績は残せないと思う。
それはそうでだよね?
そう思うよね?
で、これをもっともっともっっっっとつきつめていくと、
イチローが2人いても、同じ結果は残せないってことになると思う。
ちょっとまって、なんかちがうな。
なんか、私が言いたいこととちがう要素がからんじゃってて、複雑になってる。


んー。


もしタイムマシーンがあって、過去に戻るとするじゃない?
そしたらその過去は、自分が生きてきた過去とはちがってると思う。
難しいな。
なんだろう。
なんていえばいいだろう。
…例えば、現在で競馬を見て、タイムマシーンで過去に戻って現在で勝った馬の馬券を買っても、当たらないと思う。
当たらない、ではないな。
当たらないこともある、と思う。
当たってたとしても、それは当たり前じゃなくて…なんていうか……当たり前よりも、偶然に近いと思う。
伝わってるかなぁ。
ニュアンスだけでも伝わってるかなぁ。
なんかしっくりこないんだよなー。


ん~。


私の右手が2個あるとするじゃん。
クローン技術とか、そういうのでもなんでもいいんだけど、とにかく私の右手と全くおんなじ右手をもう一つ作ったとするじゃん。
その2つの全く同じ右手をお米のびっしり入ってる米びつに入れて、ギュって握った時につかみ取れる米粒の数って、同じじゃないと思うんだよね。
あ、別にこれ私の右手じゃなくてもいいんだけどさ。
コップでもなんでもいいんだけど。
あー、遠ざかったー。
競馬のほうがまだしっくりくるー。
でもそういうことなんだよな~。


んん~。


1分って、59秒だったりすることもあると思う。
ちがうちがうちがう。
いや、ちがってはいないんだけど、私の言いたいことよりも私の言いたいことじゃない方のニュアンスが強く出すぎてる。


んんん~。




男:
…なぁ、キスしてるときくらい黙れよ

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