「妖怪と大きい石と村人たちと古代樹の根」


妖怪は、どうしてもこの大きい石をどかしたかった。
この大きい石の下には小さなスイッチがあり、そのスイッチを押すと村人たちが喜ぶのだ。
そう説明書に書いてあった。
妖怪は、大きい石をどかすために、古代樹の根を探すことにした。
古代樹の根は絶対に切れないと聞いたことがあるからだ。
妖怪は古代樹の根がありそうな森に入って行った。
しかし、古代樹の根はみつからなかった。
一部を除いて、森をくまなく探したけれど、みつからなかった。
それでも妖怪はあきらめなかった。
村人たちの喜ぶ顔がみてみたかったからだ。
大体見当はついているが、どうしても村人たちの喜ぶ顔がみてみたかったからだ。
探しているうちに夜になり、妖怪は気づくといつのまにか大 きな石の前に戻ってきてしまっていた。
妖怪は、大きな石をどかし、下にあるスイッチを押した。
そして急いで村に向かった。
村人たちの喜ぶ顔をみるためだ。
しかし、妖怪が村に着いた頃には、村人たちは喜び終えていた。
喜び終えて、いつもの精神状態に戻っていた。
妖怪は村人たちの喜ぶ顔をみることができなかった。
少し残念に思ったが、村人たちが喜んだのならいいかと思った。
そう思えた自分に少し驚いた。
妖怪は、またあのスイッチを押そうと思った。
妖怪は、大きな石をどかすため、古代樹の根を探しに森へ入った。

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